2014年11月3日月曜日

エボラ出血熱への対応から見えてくる、人権意識の問題 〜欧米と日本の違い〜

 エボラ出血熱に関し、欧米と日本の行政のホームページを見比べると、欧米と日本の間にある人権に対する考え方の違いを見て取れます。
 欧米諸国においてエボラ出血熱に感染した人は、これまでみな医療従事者です。今、日本を含む先進国において、感染リスクの最も高い集団は医療従事者です。医療従事者への感染をいかに防ぐかが、今回のポイントと言えます。医療従事者の「人権」を守るためにも、大至急、医療従事者一人一人に対して、何に注意しどう対処すれば良いのか、情報の提供と対処の案内をすることが必要です。
 アメリカのCDCやイギリスのHPAを見ると、医療従事者向けのきめ細かいガイダンスが次々と出ています。手袋を二重にするとか、患者対応や脱衣手順など、看護婦や医師一人一人が何をしなければいけないか、様々な情報が提示されています。 素人の私でさえ分かる図入りでも案内もしています。医療従事者を守ろうとする行政の気迫を感じます。
 一方、我が日本の厚労省のサイトを見ると、報告や患者の搬送および隔離に関する指示はあるものの、欧米に見られるような医療従事者個人への案内などが全くありません。そのため、日本の医療従事者は、何に注意したら良いのか、欧米の政府機関などから独学で勉強しなけばならない状況です。政府は、国民への感染を警戒しているものの、医療従事者一人一人を守る意識が抜け落ちていると言えます。現状は、太平洋戦争において兵士に死を強要した状況と同じです。
 エボラ出血熱に対する政府の対応を見ていると、日本の行政は米英に比べると「対応がのろま」、と言わざるをえません。さらに付け加えるならば、「日本の行政は人権に対する意識が戦前同様未だに希薄」と言えそうです。日本の議員も役人も国民も、もっと意識を高めるべきです。