2014年4月12日土曜日

交易条件の低下について 〜交易条件の推移から見る、貿易立国、輸出立国の真実〜

輸出ドライブにより国内経済を牽引できると考える経済学者や経済評論家にとって、「交易条件」(貿易取引における条件)はとても大きな関心ごとです。昨今の日本経済低迷の原因を「交易条件」の悪化で説明する評論家もいます。今回は、日本の「交易条件」の推移について世界銀行のデータを基に算出し考察しました。

◯「交易条件」とは
実質賃金と交易条件の悪化に関するメモ」によると、「交易条件」とはどれだけ有利に貿易を行えているかを示す指標であり、「GDPデフレータと消費者物価の比の変化」を見ることで「交易条件の変化」も見ることができるとのことです。なぜなら、GDPデフレーターおよび消費者物はいずれも国内の物価指数ではあるものの、前者は輸出物価を含めて(輸入物価は含めず)、後者は輸入物価を含めて(輸出物価は含めず)算出することから、両物価指数の比の変化が輸出入物価の比の変化に比例すると考えられるからです。

◯GDPデフレーターおよび消費者物価指数の推移
そこで、GDPデフレーター(GDP deflator)および消費者物価指数(Consumer Price Index)の両データをグラフにしてみました。なお両指数データに対し1994年が100となるよう調整を加えました。興味深いことに、1994年まで両指数とも上昇したものの、1995年以降GDPデフレーターは低下している一方で消費者物価指数はあまり変化していません。
このことから、1995年以降、輸出価格は低下するなかで輸入価格は高止まりしていたことが分かります。つまり、一見、貿易の条件が悪化したように見えます。(注意。1994年で線が交差していますが、物価が逆転したということではありません。)



◯GDPデフレーター(輸出物価)と消費者物価指数(輸入物価)の比
つぎに、輸入物価と輸出物価の比を見るため、消費者物価指数に対するGDPデフレーターの「比」の推移をグラフにしました。グラフを見ると、比が1973年以降一貫して低下しています。つまり、輸出物価は輸入物価に対し相対的に1973年から下落し続けているということを見てとれます。交易条件を悪化させる原因が1973年に発生したとと考えられそうです。これは、上記のグラフからだけでは分からなかったことです。


◯日本で1973年に何があったか?
1973年日本は、外国為替における交換レートをそれまでの固定相場制度から変動相場制度に移行しました。以来、日本の為替レートは、政府ではなく市場で決まるようになりました。

◯結論
つまり、「GDPデフレータと消費者物価の比の変化」に着目するとこで「交易条件の変化」も見る事ができるとするならば、1973年日本は為替変動制への移行により交易条件を悪化させることを選択し輸出立国であることを捨てたと言えます。
また、今回の調査は、以前に投稿した輸出ドライブに対する否定的な考え方「日本が輸出で経済成長できない理由」を裏付ける結果になりました。
(おしまい)

世界銀行 
http://www.worldbank.org

GDPデフレーター(GDP deflator)とは
ある国(または地域)の名目国内総生産(GDP)から実質GDPを算出するために用いられる物価指数である。(ウィキベディアより)

消費者物価指数(Consumer Price Index)とは
消費者が実際に購入する段階での、商品の小売価格(物価)の変動を表す指数。(ウィキベディアより)










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