2013年7月8日月曜日

データを見て分かる「真の矢」〜常識を覆す「少子化対策」とは〜

 前回は、OECD諸国においては「人口増加」が経済成長の要であることを示しました。今回は、「少子化対策」について考えてみます。世界のデータを見ることで、少子化対策に成功している国々の「驚きの事実」を読み取ることができます。なお、今回もデータを世界銀行より取得しました。

 最初に、生まれてきた乳幼児への対応状況を見てみます。世界各国における「5歳未満児の死亡率」と「1人あたりのGDP」の相関をグラフにしました。グラフを見ると「1人あたりのGDP」が高い国ほど「5歳未満児の死亡率」は低いことが分かります。これは、当然のこととして、豊な国ほど医療が充実しているためと考えられます。日本は、乳幼児に対し世界でトップクラスの医療を提供しているようです。乳幼児への対応に関しては問題なさそうです。


 次に、「女性1人当たりの出産人数」(以下「出生率」)を見て行きます。
まず、「出生率」と「5歳未満児の死亡率」の相関をグラフにしました。「5歳未満児の死亡率」の高い国では「出生率」も高く、逆に「5歳未満児の死亡率」の低い国では「出生率」も低いことが分かります。これは、自然の動物にも見る事のできる、種を保存するための自然な法則と理解できます。

 


 さらに、「出生率」と「1人あたりのGDP」の相関をグラフにしました。「1人あたりのGDP」の高い国において「出世率」が低くなる傾向を見て取れます。これは、これまで見てきたことから、豊かな国において、医療サービスの発達により乳幼児の死亡率が低下し、自然法則により出世率も低下したためと考えられます。つまり、経済発展にともなう「出生率」の低下は避けがたい自然の摂理のようです。




 ここで、分析対象を「OECD諸国」に絞って見てみます。
まず、「出生率」と、「5歳未満児の死亡率」や「1人あたりのGDP」の間の相関です。面白いことに、このグラフには、「全世界」を対象に見た場合のような関係がありません。イスラエルは、「5歳未満児の死亡率」や「1人あたりのGDP」が日本と同程度にも関わらず、「出生率」が「3」を超えています。何か少子化対策につながるヒントがありそうです。



 そこで、様々な項目について「出生率」との相関を調べたました。次のグラフは、「出生率」と「移民受入人数(人口比)」の相関図です。驚いた事に、「移民」を多く受け入れた国ほど「出生率」も高い傾向にあります。 

 ここで一つ気になる事は、スペインなどは、移民を多く受け入れていながら「出生率」が低迷していることです。しかし、これにも原因がありました。スペインは、1960年ごろ日本より移民の受け入れが少ない国でした。2000年頃から本格的に移民を受け入れるよう変わったため、まだ経過が浅く「出生率」への影響も現れていないと考えられます。

●まとめ
 経済発展にともなう「出生率」の低下は、先進国共通の悩みであり、避けがたい自然の摂理のようです。そのようななか、「移民政策」は、一般的には「人口増加」対策と受け止められていますが、「出生率」対策にも有効だと言えそうです。

 追伸 生物は、常に変化する地球環境において「多様性」を確保することで生きながらえてきました。そのため、異なる種の受け入れは、「交配率」を高め「多様性」を確保するための手段ならば、自然の摂理として必要なことになります。私達日本人も、生物の一種であるため、「移民の受け入れ」による「多様性の確保」という自然界の掟を守らなければならないのかもしれません。
(おしまい)





 



6 件のコメント:

  1. 移民が多く出生率が高い国は、移民が産んでいるのでは。アメリカで生まれたアメリカ人ではなく。
    イスラエル、アメリカ、フランス、イギリスの出生率が高いのは戦死者数と相関があるかもしれない。

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  2. ご参考まで
    「人口減少下における望ましい移民政策」
    http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14j018.html

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    1. ご紹介の資料には、この分野の勉強に向け、多数のとっかかりが記載されています。とても参考になる資料のご紹介、ありがとうございました。

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  3. 興味深く読ませていただきました。特に出生率とGDPの相関図、同じく移民受け入れの相関図も少子化の原因がよく表れていると思いました。出生率の最近の傾向でも日本、ドイツ、イタリアの1.5前後のグループと米国、仏国、英国、スエーデンなどの2.0前後のグループに明らかな差が出ています。願わくばこれらの国を先の相関図にすべて入れていただければ、GDP、移民受け入れの要因以外の要因も出てくるのではないでしょうか。柯 隆(かりゅう):富士通総研経済研究所の中国生まれの人が面白い切り口で少子化を述べています。日本人がスケジュールに管理された管理社会だからというのです。これは相関がとりにくい要素かもしれませんが、面白い切り口だと思いました。
    http://www.spc.jst.go.jp/experiences/karyu/karyu_1606.html
    しかしこの傾向はこれからも変わらず、移民の受け入れは望めないとなると少子化に歯止めをかけるのは難しそうですね。特区でも作り考えられる要因をすべて取り除いてはたして出生率が上がるかどうか試すのはどうでしょうか。(長文にて失礼しました)

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    1. コメントありがとうございました。
      リンク先の意見は、酒場のネタとして楽しめるものの、裏ずけデータもなく説得力がありません。

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  4. 日本では、婚外子出生率が本土の倍の沖縄で、出生率最高です。世界的にも、その傾向はあります。よって、最も効果的な少子化対策は、
    http://www.eonet.ne.jp/~river-basin/kenpou.html

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