2012年12月15日土曜日

行政のあり方

ユッケを食べた3人の死亡を受けて「食品衛生法」が施行されたことを見ていると、多くの人は、私達の日常の安全や健康に関わる諸問題を政府に解決して欲しいと考えているようです。

しかし、ここで疑問が湧いてきます。
「国はどこまで私達の生活に関わるべきでしょうか?」

国は、「食品衛生法」に見られるように、私達の衣食住など日頃の生活における安全に関わる諸問題全てに介入すべきでしょうか?社会主義国は失敗しましたが、私達は何でも助けてくれる大きな政府を求めるできでしょうか?私達は、借金を継続してでも今の政府機能を維持すべきでしょうか?私達の政府は何を優先するべきでしょうか?一体、中央政府の根幹的な役割とは何でしょうか?

私は、日本の行政を、中央主導型から地域自主判断型に大幅改革すべきと考えています。

◎大きな中央政府は国民の期待に応えることができるのか?
 現在の政府は、官邸を頂点に、省庁、県、市、町、村を構成する大きなピラミッド構造を形成し運営されています。私達の日常における様々な問題に関し、末端の地域行政が対処はするものの、中央省庁が法を施行し予算配分を掌握しています。そのため、私達は、飲み会の後の「割勘」については目の前で行われるため直ぐに誤りや不正を指摘できるにも関わらず、「国家予算」に関しては遠いところで策定されるため誤りや不正を指摘することができません。
 そのため、中央政府は、はるか何百キロも先の見えない問題を采配しなけらばならず、現場の実情や要望を政策に反映しづらいという宿命を抱えています。

◎政府の機能を維持するべきか?
 道路を新たに建設すれば、建設費用がかさみ税が増えます。同様に、ユッケの調理方法を規制すれば、審査するために独立行政法人への支出が拡大し税が増えます。人口減少とGDP低下により税収の増加が期待できず、また国債発行もいづれ限界に達すると予想される中、政策は拡大おろか現状維持すらできない状況です。今や、政府予算の収支を均衡させるために、多くの政策を削減しなければなりません。

◎国民の期待に応えることができる政府とはどのような政府か?
 トヨタ自動車の工場では、生産ラインで問題が発生した場合、工場長に申し出て判断を仰いだりせず、末端の担当者が状況判断し全体のラインを止め、効率良く工場を操業してます。私達の税金を正しく効率良く使うために、飲み会の割り勘のように、政策を私達により近い所で決定すべきです。そのためには、中央政府の機能を厳選し、中央政府を最小化しなければなりません。

◎国の最も重要な役割は厳選するとしたら一体何でしょうか?
 この問いに対しては、自分達で解決できるかどうかを考えてみることで、答えることができます。例えば、ユッケの調理方法に関しては、「食べログ」などで皆で情報共有すれば、100%ではないにしても個人が判断することで解決できます。医療保障は、個人が民間保険会社と契約することで解決できます。実際、日本の「国民皆保険」は、国民全員が加入する世界唯一の保険制度であり、世界標準から見れば不要な制度です。
ところが、国境線の防衛に関しては、個人で解決できないため軍隊を整備するなど国を挙げて対応せざるをえません。また、外国政府との交渉についても、窓口を集約するため国の重要な業務です。
 そうやって考えてみると、国の最も重要な役割は、国防と外交、通貨管理、そして選挙などごく一部と言えます。

◎その他の行政機能はどうするか?
現在、例えば消防や警察は、地域レベルで対応できています。教育や産業復興、基盤整備、健康・福祉も同様に地域で対応できる問題です。つまり、各省庁を解体するとともに各省庁所管の法律を廃止し、各地域においてそれぞれの実情に合わせて法律を制定し直すべきです。そもそも、1億人の意見を一つの法律に集約することに無理があります。アメリカ等連邦国のように、それぞれの地域において独自の法律を施行する方が合理的です。住む地域によって法律が異なれば、国民にとっても選択肢が増えます。

◎これからの日本の行政をどう改革すべきか?
私は、中央政府の役割に関しては国防、外交、通貨、選挙だけに絞り、地方行政で教育、産業振興、基盤整備、健康・福祉など対応要否を含めて再考すべきと考えています。具体的には、文部科学省や農林水産省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省などを、省単位で廃止すべきと考えます。仮に必要であれば、それらを県レベルあるいは県連合(道州)レベルで、それぞれの地位域において再検討すれば良いでしょう。

(おしまい)